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恋愛小説

ひとこと小説「ふたり分のレシート」

この世界が“架空”だと気づいたのは、コンビニのレシートだった📄🪐昼下がりのコンビニ。おにぎりと缶コーヒーを手に、僕はレジの前に立った。ここ仮想都市〈クラウド9〉では、すべての買い物が“手ぶら”で完結する。レジ台に立つだけで、脈拍と遺伝子チッ...
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ひとこと小説「メトロノームのリズム」

時間を越えて、恋が再起動する瞬間⏳💓地下鉄の最終便。ホームの端で、僕はひとり、電車を待っていた。そのときだった。「時報みたいに、またここで会えるなんて」振り向くと、そこにはアイリがいた。五年前、僕がタイムジャンプ実験に巻き込まれて行方不明に...
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ひとこと小説「見送る背中」

手を振れなかった春に、ようやく追いついた🌸平日の夕方、駅前の横断歩道で、僕は足を止めた。雨粒が静かに傘を叩くなか、信号待ちをしていた前方の女性がふと目に入った。グレーのコート、長い髪、そしてあの傘。深緑の布地に、持ち手の根元にだけ入った小さ...
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ひとこと小説「名札の裏」

名前じゃなく、気持ちを残したかった💧入社式の日、僕の隣に座ったのは、どこか見覚えのある女性だった。薄茶のセミロング、静かな笑顔──それは高校のとき、たった一度だけ僕が想いを伝えた、あの夏希だった。返事はなかったけれど、その沈黙がすべての答え...
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ひとこと小説「名前のない招待状」

あの日の春を、もう一度咲かせたくて🌸春の午後、ポストの中に一通の封筒が差し込まれていた。差出人の名前も、宛名もない。けれど、見覚えのある薄いクリーム色の紙に、僕は心臓が跳ねる音を感じた。──それは、遥の使っていた便箋だった。高校時代、僕と遥...
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ひとこと小説「転校生の席」

あのぬくもりに、もう一度ふれる朝🌸冬休みが明けた朝、教室の窓にはうっすらと結露が残っていた。まだ少し眠たげな空気の中、僕はストーブの前で手をあたためながら、いつもの席へと向かう。──隣の机が、きれいに片付けられていた。そこにはずっと、七海が...
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ひとこと小説「君の忘れ物」

届いたのは、あの日の後悔と赦し🌸彼女が引っ越したのは、春の終わりだった。大学の合格が決まったその日、僕らは初めて手を繋いだ。「忘れ物、しないでね」そう言って笑った彼女に、何か返したかったけど、言葉が出てこなかった。でも僕は、その頃、自分の気...
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ひとこと小説「落書きの文字」

拾い直した、あの日の気持ち🌸中学の卒業式の日、ぼくの机に鉛筆でこう書かれていた。「好きだったよ」名前も書かれていない、たったひとこと。でも、その筆跡は丁寧で、どこか迷いが見えた。誰が書いたのか、なぜ自分の机だったのか。何度も考えたけれど、答...
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ひとこと小説「紙飛行機の行方」

ふたりの未来を乗せて、風の彼方へ🌤公園のベンチの下に、小さな紙飛行機が落ちていた。丁寧に折られていて、誰かが大事に飛ばしたもののように見えた。ぼくはそれを手に取り、空に向かって軽く放ってみた。風に乗って、思いのほか遠くまで飛んでいく。その先...
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ひとこと小説「充電器の貸し借り」

それは、未来を繋ぐコード🔌「すみません、充電器……貸してもらえませんか?」その声に振り向いた瞬間、時間が歪んだ気がした。彼女は不思議な雰囲気をまとっていた。地味な服装に、どこか古びたスマホ。けれど目だけは、未来を見ているような光を放っていた...