
「あの瞬間、すべてが動き出した📚」
図書館の奥、誰もいない静寂の中。
一冊の本に手を伸ばした瞬間、誰かの指先とふれた。
「……あ」
思わず声が漏れた。
視線をあげると、彼女がいた。
少し驚いたように目を丸くし、でもすぐに微笑んだ。
見覚えのある顔。
「もしかして……高橋くん?」
名前を呼ばれ、心が跳ねた。
中学の同級生。
卒業してから、一度も会っていなかった。
「吉川……さん?」
彼女は頷いた。
「やっぱり。変わらないね、雰囲気」
思い出が一気によみがえる。
放課後の教室、図書委員として一緒に過ごした日々📖。
彼女がいつも借りていたのは、この作家の本だった。
「今でも、好きなんだね。この本」
「うん。なんか、落ち着くんだ」
小さく笑う彼女に、言いかけた言葉を呑み込んだ。
あの時、言えなかったこと。
でも今なら——
「良かったら、コーヒーでもどう?」
自然なふりをして聞いてみた。
彼女は少し考えて——頷いた☕。
再び並んで歩き出す、その距離はもう昔のままじゃなかった。
すれ違いじゃなく、再会だった。
手に取ったのは、同じ一冊。
でも物語は、ここから始まる——✨
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