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ひと言小説「波の記憶」

「枯れた中の一輪」

「ひまわりの丘で待ってる。」

そう言い残して、彼は静かに駅のホームを去った。

あの言葉が頭から離れず、私は小さな丘を目指した。🌻

坂道を登り、息を切らせながら辿り着いた先には、広がる枯れたひまわり畑。

乾いた茎が風に揺れる音だけが聞こえる中、何度も目を凝らしても、彼の姿は見当たらなかった。

「どうしてこんなところに…」

疲れ果てて腰を下ろした私の目に、突然鮮やかな黄色が飛び込んできた。

ひまわり畑の中心に、一輪だけ咲き誇る花。

その下には、彼が置いたと思われる小さなメモがあった。

『遅れてごめん。僕もひまわりのように強く、君の太陽になりたいと思っている。でも、今はまだその資格がない。』

読み進めるうちに涙が止まらなかった。

彼の葛藤と誠実さが、その一輪のひまわりのように私の胸を照らしたからだ。

「待ってるよ。」

その言葉をそっと風に乗せた。

やがて訪れる再会の日まで、私も彼のように強くなれるようにと心に誓った。🌻✨

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