
運命の”転生手紙”が、ふたりをつなぐ✉️💍
「また、婚約破棄ですって」
侍女のセシルが、困ったように眉を下げた。
帝国貴族令嬢である私、リディア・フォン・アーレントは、これで三度目の婚約破棄の危機に直面していた。
理由は毎度同じ──「前世の記憶がある」という転生者に翻弄されるからだ。
彼らは口々に「ヒロインは別にいる」と言い、私を悪役令嬢と決めつけてくる。
「なろう系の男爵子息、ほんとに困るわね……😓」
セシルの呟きに、私も思わず頷いた。
今日も、第四の婚約者となる予定だった第二皇子から、突然手紙が届いた。
──リディア嬢、婚約の件は白紙とさせていただきたく思います。
前世の記憶が蘇り、あなたとは釣り合わぬことを思い出しました──
またか……と思ったその夜。
ふと部屋の机に、一通の古びた封筒が置かれていた。
見覚えのないその封筒を開くと、そこにはこう書かれていた。
『あなたが傷つく未来が続くなら、どうかこの手紙を持って、過去の”彼”に渡して。』
意味がわからなかった。
でも手紙の裏には見覚えのある印章──
初めての婚約破棄をした、第一皇子レオンの家紋。
「……過去に戻れと?」
私は冗談だと思いながらも、眠りについた。
すると目が覚めた時、目の前に立っていたのは──
若き日のレオンだった。
「おはよう、リディア。今日は婚約式の打ち合わせだね」
信じられないことに、私は5年前に戻っていた。
そして、あの手紙をレオンに手渡した。
彼は黙って読み、目を見開いた。
「……これを書いたのは、未来の僕か」
「たぶん、そうみたいね」
しばらくの沈黙のあと、彼は微笑んだ。
「リディア。僕は絶対に君を傷つけない。何があっても、この未来を選び直す」
──その言葉が、全てを変えた。
時が流れ、私は再び今の時間に戻っていた。
だが、私の部屋には見慣れぬ写真が飾られていた。
私とレオンが微笑む婚礼の肖像画──
「おかえり、リディア」
レオンがそう言って、そっと私を抱きしめた。💫
運命の”転生手紙”は、未来を変えた。
もう、誰にも婚約破棄なんてさせない。
これは、記憶に導かれたふたりが、
何度でも巡り逢う恋の物語。💖
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