
不思議キャラが導く未来
大阪の街は夏の蒸し暑さに包まれていた。🌞
その熱気の中、万博記念公園には人々の笑顔が溢れ、色とりどりの旗が風に揺れている。
そしてその中心に、ひときわ異彩を放つ存在――ミャクミャクが立っていた。🌀
「ねえ、あれって……本物?」
人混みの中で、大学生の葵が隣の友人・優斗に小声で尋ねた。
「さあ、どうだろう。キャラクターショーかと思ったけど……なんか違う雰囲気だな」
ふたりは視線を合わせ、不思議な赤い体をした存在に釘付けになった。
ミャクミャクは観客の誰とも違うリズムで呼吸し、まるで心臓の鼓動が街に響いているかのようだった。💓
そして次の瞬間、葵の足元に小さな赤い光が落ちた。
「これ……なに?」
葵が拾い上げると、光はすっと彼女の手に吸い込まれ、胸の奥が熱くなる。
「……聞こえる?」
耳元で声がした。
振り返っても誰もいない。だが確かに、葵の中に言葉が響いていた。
――わたしの鼓動を感じて。
優斗が怪訝そうに覗き込む。
「大丈夫か? 顔赤いぞ」
「うん……なんでもない」
葵は微笑んでみせたが、胸の奥でミャクミャクの鼓動が静かに鳴り続けていた。🔴
それから日常が少しずつ変わり始めた。
授業中、ふとノートに赤い模様が浮かび上がったり、夜道を歩けば街灯が彼女に合わせて明滅したりした。
「葵……これ、普通じゃないぞ」
優斗は半ば呆れ、半ば興奮していた。
ある夜、ふたりは再び万博記念公園を訪れた。
すると、ミャクミャクが静かに待っていた。
「やっと来たね」
今度ははっきりと声が聞こえた。🗣️
葵と優斗は顔を見合わせる。
「……しゃ、喋った?」
ミャクミャクは頷き、ふたりの前に手を差し伸べる。
「世界は鼓動でつながっている。君たちも、そのリズムを選ぶ時が来たんだ」
その瞬間、公園全体が赤く光り、まるで人々の心臓の音が一斉に響いたようだった。💡
葵は胸に手を当て、深く息を吸った。
「……私、選びたい。この鼓動と一緒に」
優斗も頷き、二人の手は自然とミャクミャクの手に重なった。
赤い光は夜空を包み込み、未来へと続く道を描き出した。🌌
こうして彼らは、不思議な存在と共に新しい一歩を踏み出したのだった――。
だが、それで終わりではなかった。
翌日から葵は夢の中で、不思議な光景を見るようになった。🌙
広大な大地に無数の赤い線が脈打ち、それらが一本に繋がると巨大な樹の姿を形作った。
「……これが、鼓動の正体?」
彼女が夢の中で呟くと、赤い樹の根元にミャクミャクが現れた。
「鼓動は記憶。過去と未来をつなぐ力なんだ」
その言葉に葵は目を見開く。
一方、優斗もまた不思議な体験をしていた。
スマホの画面が突然赤く光り、知らないメッセージが浮かび上がったのだ。
――君も鼓動を持つ者。
「なんだよこれ……」📱
優斗が画面に触れると、景色が一瞬だけ歪んだ。
次の瞬間、彼は知らない街に立っていた。
未来都市のようなビル群が空を突き抜け、空を走る赤い光の帯が人々を導いている。
「……これ、夢じゃないのか?」
驚きと同時に、不思議な高揚感が胸を満たした。
再び現れたミャクミャクは、優斗に向かって微笑んだ。
「葵と君は選ばれた。鼓動を未来へ伝える使命を持っている」
その言葉の重みを受け止めながら、二人は新しい旅の始まりを予感した。✨
そして物語は、まだ誰も知らない鼓動の世界へと広がっていく――。
コメント