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ひとこと小説「リセットボタン」

「もう一度、あの告白から始めたい」

「付き合ってください」
あのとき、君は少し戸惑ってから、笑ってうなずいてくれた。

高校最後の文化祭の日。
あれが、僕の人生で最初で最後の“告白”だった💓

でも——僕たちは遠回りをしすぎた。
進学、就職、すれ違い、誤解。
会えない時間が多くなるたび、何かが崩れていった。

そして、LINEの既読がつかなくなった日。
僕たちの関係は、静かに終わった。

それから5年。
僕は仕事帰りに立ち寄ったゲームセンターで、見覚えのある後ろ姿を見つけた。

スーツ姿でクレーンゲームを見つめていたのは——君だった。

声をかけようとして、でも何を言えばいいかわからなかった。
ただ、胸ポケットにあった“リセットボタン”と書かれたおみくじのキーホルダーを、無意識に握っていた🌀

「それ、まだ持ってたんだ」

振り返った君が、驚いた顔から、少しだけ微笑んだ。

「文化祭のとき、一緒に買ったやつでしょ?
あのあと、もう一度だけ会えたら渡そうと思ってたの」

「えっ?」

君はスマホを差し出してきた。

そこには、僕宛てに書きかけの未送信メッセージ。

『リセットできるなら、今度はもっと素直になれる気がする』

僕の心臓が跳ねた。

「リセット……してみる?」

僕がつぶやくと、君はゆっくりとうなずいた。

「……最初の告白から、もう一度、やり直そっか」

クレーンゲームの景品が落ちる瞬間より、
君の手が僕の手に重なった瞬間の方が、ずっと嬉しかった🎁💞

帰り道、夜風が少し冷たかったけれど、隣にいる君の温もりがそれを打ち消してくれた。

あの頃は、お互い子どもだった。
素直になれず、伝えたいことを隠していた。

でも今なら、ちゃんと向き合える。

「もう一度、君に出会えてよかった」

そう言うと、君は照れたように笑って、僕の袖をそっとつかんだ。

二人の中に眠っていた“リセットボタン”が、そっと目を覚ました夜だった🌙✨ これが、新しい物語の始まりだった。

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