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ひと言小説「行き止まりの思い出」🌳🛤️

「忘れかけた約束の場所」

仕事帰り、ふと思い立って知らない道を歩いてみた。

駅前の喧騒を抜けて、細い路地へと足を踏み入れると、いつしか街灯の明かりも途切れがちになっていた。

行き止まりにぶつかる頃、ふと香る草の匂いと、風に揺れる木々の音が懐かしさを呼び覚ます。

目の前に現れた古びた公園。

丸い砂場と小さな滑り台――あの頃、友達と夢中で遊んだ景色そのままだった。

記憶が鮮やかによみがえる。

その場所は、幼い自分が引っ越す前に毎日のように通った公園だった。

「またここで遊ぼうね」と、最後の日に手を振りながら約束した友達の笑顔を思い出した。

その約束は、引っ越しと共に心の奥底にしまわれたもの。

ただ、その顔と名前はぼんやりとしか浮かばない。

ポケットからスマホを取り出し、思わず写真を撮った。

「ここで待ってるよ」なんて、SNSに投稿してみたけれど、返事が来るはずもない。

帰り道、振り返ると公園は月明かりの中で静かに佇んでいた。

そこに佇むのは、自分の中に眠る記憶と、果たせなかった幼い約束だった。🌕

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