
「夢の青い羽」
子どもの頃、私は夢の中で青い鳥を追い続けていた。
鮮やかな羽を広げて、どこまでも飛んでいくその姿に心を奪われ、夜ごとに目覚めるたび、胸にぽっかりとした寂しさが残った。
「あの鳥を捕まえたら、何か素敵なことが起こるかもしれない…。”
そんな希望を抱き、いつも眠りに落ちるのだった。
成長するにつれ、その夢を見なくなったことに気づいたのは、大学に入る頃だった。
忙しい毎日とともに、青い鳥の記憶も心の奥深くに沈んでいった。
そんなある日、ふと古いアルバムをめくっていると、幼い私が大切に握りしめていたペンダントの写真が目に留まった。
シンプルな銀色のデザインの中に、小さな青い鳥が彫り込まれている。
「このペンダント、どこに行ったんだろう…?」
疑問を抱きながら、記憶を遡る。
それは小学校の低学年の頃、祖母からもらったものだった。
「大事にしなさいね」と言われたのに、気づけば失くしてしまい、それ以来見つかることはなかった。
大人になったある日、引越しのために押し入れを整理していると、埃まみれの小箱が目に入った。
開けると、そこには忘れていたペンダントが眠っていた。
青い鳥が彫られたその姿を目にした瞬間、幼い日の夢が鮮やかに蘇った。
夢の中で追い続けたあの青い鳥は、私がずっと探していたこのペンダントそのものだったのだ。
手のひらにペンダントを握りしめながら、私は静かに微笑んだ。
あの鳥はいつもそばにいて、私の心を導いてくれていたのだ。 そしてこれからも、きっと私の道しるべであり続けるだろう…。
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