
止まった時間が、君への「いいね」で動き出した📱💘
《@aya_private:好きな人がいます。でももう会えない人です──》
眠れない夜、何となく眺めていたSNSのタイムライン。
ふと目に止まったその書き込みに、修也の指が止まった。
「この文章、どこかで……」
プロフィールもアイコンも匿名。
だけど投稿をいくつか遡っていくと、高校時代の懐かしい言葉や描写が並んでいた。
《@aya_private:一緒に帰る途中、あの人は空ばかり見ていた。何を考えてたんだろ》
それは、かつて修也が彩花と交わした会話そのものだった。
高校を卒業する春、突然転校していった彼女。
修也はその後、「彩花が事故で亡くなったらしい」という噂を耳にした。
本当のところは分からない。
でも、確認する術もないまま、彼はずっと「もう会えない」と思っていた。📱
意を決して、修也はDMを送った。
《突然すみません。もしかして……彩花?》
すぐに返事が届く。
《修也……? 本当に?》
胸が熱くなった。
あの日、伝えられなかった「好き」という気持ちが、時間を超えて蘇ってくる。🌸
彼女は生きていた。
事故なんてなかった。
ただ、家族の都合で急に引っ越し、連絡先も変わってしまっていただけ。
お互い探すすべもなく、年月だけが過ぎていった。
でも、心だけは残っていた。
彩花は、ずっと思い出をSNSに綴っていた。
その想いが、ようやく修也に届いた。🌟
再会は、桜の咲くキャンパスの片隅だった。
「……ひさしぶり」
「ううん、やっと会えた、だね」
二人は、何も言わなくても分かり合えた。
止まっていた時間が、そっと動き出す。
修也はスマホを取り出し、さりげなく彼女のアカウントに「いいね」を押した。
彩花はくすっと笑って、画面を覗き込む。
「もう、遅いよ」
「……いや、まだ間に合うって、信じてた」
春の風が、ふたりの間をそっと通り抜けていく。
目と目が合い、どちらからともなく微笑んだ。
これからは、“もう会えない”なんて言わせない。
それは、アカウントの書き込みから始まった、もう一度の恋の始まりだった。💑✨
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