ひと言小説「置き忘れた花」

「赤い想いの行方」

公園のベンチに、一輪の赤いカーネーションが置かれていた。

誰がそこに置いたのか。
🌸通り過ぎるたびに目が留まる自分に気づいた。

最初はただの忘れ物だと思っていた。

だが、毎日同じ時間にその花は変わらずそこにあった。

「何の意味があるんだろう…？」と考えながらも、どこか気になってしまう。💭

ある日、思い切ってその花を手に取った。

その瞬間、足元から声がした。👣

「その花、返してもらえますか？」

見上げると、年配の男性がそこに立っていた。

彼は静かに語り始めた。

「この花は…亡くなった妻へのものなんです。💐彼女が好きだった場所に毎日置いているんです。」

突然、胸が詰まる思いがした。

赤いカーネーションに込められた想いが、痛いほど伝わってきた。💔

「すみません…」と謝りながら、花をそっとベンチに戻した。

その後、毎日その花を見に行くのが習慣になった。

知らない誰かの想いに触れるたびに、心が少しずつ温かくなる気がした。☀️

そしてある日、花の隣に手書きのメモが置かれていた。

『見守ってくれてありがとう。✨』

それ以来、そのベンチを見るたびに、小さな感謝の気持ちが芽生える自分がいた。🌿