
「消えた遊び場」
地図にはない道を見つけたのは、偶然だった。
散歩中、ふと目に入った木々の隙間に小道が続いているのを見つけた。
手書きのように不揃いな石が敷かれ、誰かが踏み固めたような痕跡がある。 🌲
何の気なしに足を踏み入れると、周囲は静かになり、鳥のさえずりだけが聞こえた。
進むにつれ、幼い頃に遊んだ記憶がふと蘇った。
木のブランコ、砂場、そして近所の子どもたちと走り回った草原。 🌷
しかし、そんな場所はとっくに再開発で消えてしまったはずだ。
道が急に広がり、視界が開けた。
そこには、昔の遊び場がそのままの姿で広がっていた。
木のブランコは揺れ、錆びついた鉄棒が青空に映えている。
誰かが手入れしている様子もない。 🏡
「懐かしい…」 思わず呟き、足を進める。
目を凝らすと、見覚えのある人影が見えた。
それは、幼い自分だった。
砂場で無邪気に笑い、友達と楽しそうに話している。 😊
驚いて目を擦ったが、視線を戻すと何もなかった。
胸が締め付けられるような感覚が広がり、足が止まった。
振り返ると、いつの間にか道は消えていた。
前にも後ろにも進めない。
立ち尽くしていると、微かな風が吹き抜け、耳元で囁くような声が聞こえた。
「また遊ぼうね。」 🌹
気づいたときには、見慣れた散歩道に戻っていた。
地図にない道の存在は、まるで幻のようだったが、胸の中に暖かい記憶が残っている。 💟
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