
「日の出の約束」
彼女から送られてきた写真には、夜明けの景色が映っていた。🌅
柔らかな光が山並みを染め、湖面に金色の輝きが広がる。
どこかで見たことがある風景だと思い、目を凝らすと、胸がざわついた。
それは、二人でいつか訪れようと約束した場所だった。
地図で探し出し、計画まで立てたけれど、結局一度も行けなかったあの場所だ。
「どうして彼女がここに?」
メッセージを読み返すと、ただ「行ってきたよ」とだけ書かれている。
言い訳も、理由も何もない。
それなのに、なぜかその写真が物語るものは痛いほど伝わってきた。
別れたあの日から、彼女がどれほどの時間を費やしてこの旅をしたのか。
そして、その結論がこの一枚に凝縮されていることを。
「あなたも一緒に来られるとよかったね。」
まるで写真の中から彼女の声が聞こえるようだった。
今さら何を言っても遅い。
けれど、どうしても伝えたかった。
「次は、二人で。」 そう返信を打ち込んだあと、ため息をついて送信ボタンを押した。🌟
コメント