
クリスマスの夜。
特別な予定はなかった。
誰かと会う約束も、出かける用事もない。
ただ、いつも通りの夜のはずだった。
それなのに、なぜか落ち着かなかった。
街は明るく、窓の外からは音楽や笑い声が聞こえてくる。
イルミネーションの光が、いつもより長く残っている気がした。
部屋の中は静かだった。
テレビをつけても、画面の向こうでもクリスマスの話題ばかりが続いている。
「今日は特別な日ですよ」と、何度も言われているような気分になる。
予定がないだけなのに、何かを間違えているような感覚が、胸の奥に残った。
暇なわけではない。
一人で過ごす夜は、これまでも何度もあった。
それでも、この夜だけは違った。
何をしていいか分からなくなる。
動画を再生しても、途中で止めてしまう。
コーヒーを入れても、気持ちは切り替わらない。
「何もしない」という選択が、なぜか許されていないように感じてしまう。
スマートフォンを開くと、楽しそうな写真が次々と流れてくる。
誰かの笑顔や、並んだ料理や、プレゼントの箱。
それを見て羨ましいと思うより先に、自分はここにいないことを意識してしまう。
予定がないだけなのに。
何も選んでいないだけなのに。
なぜかこの夜だけ、
恋愛のことを考えてしまう理由については、クリスマスの夜に一人でいると、恋愛のことを考えてしまう理由で、もう少し丁寧に書いている。
そうやって考えているうちに、この夜そのものが、
失敗のように思えてくる気がした。
しばらくして、スマートフォンを伏せた。
今日はもう、答えを探すのをやめようと思った。
予定がなくてもいい。
落ち着かなくてもいい。
そう思えたとき、
この夜は少しだけ静かになった。


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