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ひとこと小説「時差7年の恋」

「未来から届いた、僕たちの約束」

「君の声、7年越しに届いてるよ」📡
そう言ったのは、スクリーンの中の彼だった。

私は、七瀬ユイ。
この世界の“2025年”を生きている大学院生。
孤独が得意で、恋なんて時間のムダと思っていた。

ある日、研究室に届いた一台の旧型スマートホロデバイス📱
「タイムリンク型通信装置」――
そこに保存されていたのは、未来から届いた“動画メッセージ”だった。

「初めまして、僕は望月カイ。2032年から来ました」
映るのは、少し不器用そうな青年。
そして、彼はこう続けた。

「この装置は、7年後の世界とリアルタイムで繋がる唯一の窓なんだ」

私は最初、いたずらだと思った。
でも彼の声は、本当に“その瞬間の私”にしか反応しなかった。
過去も未来も、介在できない、純粋な一点の対話。

夜な夜な、私は彼と“時差7年”の会話を重ねた。
「好きな映画は?」
「怖いのダメだけど、カイが勧めるなら観てみようかな🎬」

毎日、わずか10分の通信。
でも、その時間が私の生きる理由になっていった。

ある日、彼が言った。
「ユイ、7年後の世界で……君は死んでるんだ」

衝撃だった。

「でも、僕が過去の君に語りかければ、未来は変わるかもしれない」

それから彼は、自分の時間を削って未来の事故を回避する方法を調べてくれた。
「君がその日、その電車に乗らなければ……助かる」

そして迎えた、運命の日。

「これが、最後のメッセージになる」
そう言って彼は、涙を浮かべた表情でこう続けた。

「未来で、君にもう一度会うために、僕は生きるよ」
「だから、君も、生きて」💫

装置は、その直後に完全に沈黙した。

私は、電車に乗るのをやめた。
その日、私の乗るはずだった車両で事故が起きた。
多数の犠牲者。
その中に、私は――いなかった。

そして7年後の2032年。

私は研究者として、タイムリンク装置の再起動に成功した。
画面に映ったのは、あの時と変わらない彼の姿。

「……会いたかったよ、カイ」

時差7年の恋は、ようやく“同じ時間”を生き始めた🌍❤️

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