本ページはプロモーションが含まれています

ひと言小説「月夜の影」

「導く影」

🌕 月明かりが静かに路地を照らす夜、ふと足元に目を落とした。
自分の影とは別に、もう一つの影があった。

👤 それは細長く、まるで誰かの手を引くように、ゆらりと揺れている。
「風のせい…?」そう思ったが、風は吹いていない。

🚶‍♂️ 影は、ゆっくりと前に進んだ。まるで「ついてこい」とでも言うように。
気味が悪いのに、なぜか足が動く。
静寂の中、影を追って歩き続けると、やがて見覚えのある場所にたどり着いた。

🏚️ それは、幼い頃に住んでいた家の跡地だった。
今はすっかり崩れ、瓦礫が積まれているだけ。
だが、懐かしい匂いが微かに残っていた。

🖐 その時、影が止まり、ゆっくりと形を変えた。
それは、小さな子供の姿になり、こちらに向かって手を伸ばしてくる。
胸が締めつけられた。

👦 思い出した。ここで遊んでいた幼い弟のことを。
事故で亡くなった、まだ手をつないで歩いていた頃のままの弟を。

🌑 瞬きをした瞬間、影は消えた。
ただ、月だけが変わらず優しく夜を照らしていた。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました