SNSがつなぐ小さな奇跡
「ビジュイイじゃん！」📱
その一言は、奈央の胸を軽く叩いた。大学の友達が、彼女の投稿した写真を見てコメントしてくれたのだ。
普段の奈央は地味で、SNSにもほとんど写真を上げない。
だが、その日は珍しく友達と立ち寄ったカフェで、光が差し込む窓辺で笑っている自分の姿を撮られた。🌸
画面に映る自分は、どこか別人のように見えた。
少し大人びて、柔らかい光に包まれた笑顔。
奈央は思わずその写真を投稿した。
そして驚いたことに、たちまち「いいね」とコメントが集まった。
「雰囲気いいね」「自然な笑顔が可愛い」。
それらは奈央の心を温め、胸の奥がくすぐったくなるような感覚をもたらした。✨
数日後のキャンパスで、思いがけない人物が声をかけてきた。
同じ学部の海斗。
いつも友達に囲まれて笑っている、人気者の彼だ。
「この前の写真、見たよ」
「えっ……見てたの？」😳
「うん。すごくいい写真だった。あのカフェ、俺もよく行くんだ」
海斗は柔らかく笑う。
その表情に奈央は一瞬言葉を失った。
遠い存在だと思っていた人が、自分の投稿を見てくれていたなんて――心臓が少し速く打ち始める。📷
それからというもの、二人は少しずつ距離を縮めていった。
海斗は自然体で、話しかけやすい雰囲気を持っていた。
奈央が照れながら話すと、必ず笑顔で返してくれる。
やがて彼は、「今度一緒にカフェ行かない？」と誘ってきた。
窓際の席に並んで座り、季節限定のラテを手にしながら写真を撮る。
互いのスマホを見せ合って、笑い合う。
そんな時間が、奈央にとっては夢のようだった。☕✨
「奈央、今日の髪型、ビジュイイじゃん」
「えっ、ありがとう……！ 海斗のその笑顔こそ、最高にビジュイイじゃん」
二人の間に流れる空気は、優しく温かい。
気づけばその言葉は、二人の合言葉のようになっていた。🌈
ある日、奈央はふと思った。
どうしてあの日、自分はあの写真を投稿したのだろう。
普段なら恥ずかしくて絶対に上げなかったはずだ。
けれど、勇気を出して投稿したことで、こんなにも世界が変わった。
SNSはただの画面の中のやり取りだけれど、そこから生まれた小さな奇跡が、今目の前に広がっているのだ。💫
「ねえ、海斗」
「ん？」
「私ね、最近思うんだ。ビジュイイって、外見だけじゃなくて……」
「うん」
「こうやって誰かと一緒に笑ってる時間、そのものが『ビジュイイ』なんだって」
海斗は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにふっと優しい笑顔を浮かべた。
「……俺もそう思う。奈央といる時間、全部ビジュイイ」✨
奈央は胸の奥が熱くなるのを感じた。
まるで心がじんわりと溶けていくように。
誰かと分かち合える幸せ、それが本当の「ビジュイイ」なのかもしれない。
日常は相変わらず続いていく。
講義に出て、バイトをして、疲れて眠るだけの日々。
けれど奈央の世界はもう以前とは違っていた。
SNSの中で褒められた自分の笑顔。
そして海斗と過ごす時間。
すべてが彼女にとっての宝物になっていった。🌟
キャンパスの帰り道、ふたり並んで歩く。
夕焼けに照らされた横顔を見て、奈央は小さくつぶやいた。
「やっぱり……ビジュイイじゃん」
海斗が笑う。
その笑顔に、奈央もまた笑顔で応えた。✨
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