笑顔の先に待っていた驚きの結末🎵
土曜の朝、スマホに届いた通知が目を引いた。
「ぺこマリ体操オンライン無料体験、今すぐ参加！」
最近運動不足だった私は、軽い気持ちで申し込んだ。
画面の中では、元気いっぱいの女性インストラクターが「せーの！」と掛け声をかける。
両手をぺこっと曲げて、左右にマリオネットのように揺れる動き。
思わず笑ってしまうほど、可愛い動きだった。😄
「いいですね〜！その調子！」
画面越しの声が、やけに私の名前を呼ぶ。
……あれ？名前なんて登録してないのに。
動きに合わせて曲が流れ出す。
歌詞がなぜか、私の部屋の様子を実況しているようだった。
「ソファの下には、開けかけの段ボール〜」
本当にそこにあるんだけど！？
「次はジャンプ！…そう、その写真立て、少し傾いてますよ」
思わず振り返ると、本当に傾いている。
鳥肌が立った。
慌てて配信を切ろうとした瞬間、画面のインストラクターがニヤリと笑った。
「最後までやりましょう。これは“未来のあなた”のためなんです」
動揺しつつも最後まで体操をやり切った私。
終わった瞬間、部屋が妙に明るく感じられた。
そして傾いていた写真立てが、なぜか真っ直ぐになっていた。
翌週、再び参加しようとリンクを開くと「このページは存在しません」の表示。
あれ以来、誰に話しても信じてもらえない。
でも、たまに部屋で一人で動くと、どこからか小さく声が聞こえる気がする。
「その調子！」
さらに奇妙なのは、ぺこマリ体操を始めてから不思議とタイミングが良くなったことだ。
電車はいつも座れるし、忘れ物を取りに戻ると雨が止む。
まるで見えない誰かが、私の一歩先を整えてくれているみたいだ。
ぺこマリ体操は、ただの運動じゃないのかもしれない。
あの日、笑顔のインストラクターが残した言葉が、今も耳に残っている。
「未来は、あなたの体の中にもあります」
そう思うと、今日も自然と腕がぺこっと上がる。
──次は、どんな未来がやって来るのだろう？✨
そして今朝、鏡を見た瞬間、心臓が跳ねた。
私の背後に、あの日と同じ笑顔のインストラクターが映っていたのだ。
振り返った時には、もう誰もいなかったが、鏡の中だけはまだ彼女がこちらを見ていた。
その口元が、小さく動く。
「せーの！」
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