
「グーンプラス、なんでこんなに安いの?」。
その一言から、町内会の空気はなぜかざわついた。
検索と噂と主婦力が集まり、真相は集会所へ向かった。
その日、回覧板より速く回ってきたのは価格の噂だった。
ドラッグストアで見かけたグーンプラスの値札が、妙に控えめだったからだ。
高そうな名前なのに、なぜか家計に優しい。
人は割引と安心が並ぶと、理由を知りたくなる生き物である。
集会所には、ノートパソコンが三台、スマホが八台並んだ。
議題はただ一つ、「グーンプラスは安い、なぜ」。
佐藤さんが真顔で言う。
「感情論は禁止、今日は検索履歴で戦います」。
最初に出たのは「期間限定説」だった。
しかし一年を通して価格は安定している。
次は「在庫処分説」。
だが棚には最新パッケージが堂々と並んでいた。
山本さんが不安そうに言った。
「品質を削ってるとか、そういう話じゃないですよね」。
この発言には全員が即座に首を横に振った。
この界隈で品質軽視は、最初に却下される。
議論が煮詰まりかけた頃、誰かがぽつりと呟いた。
「安い理由を探してる時点で、もう疑ってますよね」。
この一言に、なぜか全員が笑った。
人は理由を知りたいだけで、責めたいわけではない。
調べていくうちに、答えは拍子抜けするほどシンプルだった。
派手な広告を打たない。
流通を効率化する。
必要な機能にだけ集中する。
つまり、余計なことをしていない。
「真面目すぎて逆に疑われるタイプだ」。
誰かがそう言うと、会議は一気に和やいだ。
理由が地味すぎて、笑いに変わる瞬間だった。
この町内会には、以前も似たような議論があった。
レシート一枚から人生を考えてしまう夜を描いたひとこと小説「ふたり分のレシート」を思い出した人もいた。
些細な数字が、気持ちを動かすことはよくある。
また別の人は、帰り道でなぜか胸がきゅっとなる話としてひと言小説「いつもの帰り道」を連想したと言った。
日常の中の違和感は、放っておくと物語になる。
結論として、町内会は一つの答えに辿り着いた。
グーンプラスが安いのは、無駄を削ぎ落とした結果である。
疑うほどの理由はなく、むしろ安心材料だった。
帰り道、私はドラッグストアに立ち寄った。
棚の前で、さっきの会議を思い出して少し笑う。
理由を知った商品は、ただの消耗品ではなくなる。
納得して選んだ一品は、ちょっと誇らしい。
人はその誇らしさを、誰かに話したくなる。
「安いのには、ちゃんと理由があったよ」と。
その一言が、また次の検索を生むのだ。
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価格や仕様を見ておくと、判断しやすくなります。
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