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ひと言小説「赤い傘」

「忘れられたメモ」

雨が降り出した午後。 私は、クローゼットの奥にしまい込んでいた赤い傘を取り出した。 それは、彼と別れた日に買ったもの。 鮮やかな色が、なぜかその時の気持ちを象徴しているようで、ずっと使えなかった☔。

久しぶりに広げてみると、何かがカサカサと音を立てた。 「ん?」 目を凝らすと、傘の骨に小さな紙切れが挟まっているのに気づいた。

折りたたまれてしわくちゃになったその紙を広げると、そこには見覚えのない文字が並んでいた✉️。


「最後の雨の日。 君の笑顔が、ずっと心に残っている。 またどこかで会えたら、その時はもっと素直になりたい。」

「何、これ…?」 胸がざわついた。 彼の字ではない。 それなのに、このメッセージが私の心を揺さぶるのはなぜだろう…💔。

あの日、彼と最後に歩いた駅前の傘屋。 雨が冷たくて、何も言えなかった私たち。 もしかして、この傘に触れたのは彼だけじゃなかった? それとも…、誰か他の人が私の赤い傘に込めた思い?

雨音を聞きながら、私はその紙を手に立ち尽くした。 赤い傘の持ち主は、私だけじゃないような気がして…。 でも、それならこのメモは、いったい誰のためのものなのだろう🤔。

外に出ると、雨はやや小降りになっていた。 赤い傘を広げ、そっとメモをポケットにしまう。

“いつか答えが見つかるかな…” そう呟きながら、私は静かに歩き出した。 雨上がりの空は、薄日が差して少しだけ明るかった。

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