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ひと言小説「遠い空の記憶」✈️📮

「絵葉書の行方」

郵便受けを開けると、一枚の絵葉書が入っていた。

異国の風景が描かれたその絵葉書は、何か懐かしい感覚を呼び起こす。

裏返すと、シンプルなメッセージが書かれていた。
「ここで君を思い出した。」

差出人の名前はない。
ただ、右下に描かれた小さな星の印が目に留まる。

その印は、昔の自分が夢見ていた未来を象徴するマークだった。
学生時代、私は絵葉書を手作りするのが趣味で、必ずその印を描き添えていたのだ。

だが、この絵葉書を送る相手を思い出せない。

数日後、押入れから古いアルバムを引っ張り出した。
アルバムの中には自分が描いた絵葉書の写真が何枚も残っている。

その中に、同じ風景画の一枚を見つけた。
記憶が少しずつ蘇る――あの時、憧れと不安を抱えながら旅立った自分を思い出した。

絵葉書は、自分宛てに出したものだった。

数十年の時を経て、遠い土地を巡り巡って今の私の元に戻ってきたのだ。

手紙を握りしめながら、私は目を閉じる。
遠い空を旅してきた絵葉書が、再び私に勇気を与えてくれる気がした。

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