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ひとこと小説「遠回りの散歩道」

「卒業の日に知った、君の気持ち」

彼と帰る道は、いつも遠回りだった🚶‍♂️。
わざわざ商店街を抜けて、小さな公園を通るルート。

「どうして近道しないの?」
そう聞くたび、彼は「こっちのほうが好きだから」と笑っていた。

卒業式の日🌸。
「今日も遠回り?」とからかうと、「最後くらい付き合ってよ」と言われた。
それが、なんだか特別な誘いのように感じて、一緒に歩き出した。

いつもの公園。
いつものベンチ。
だけど、今日は違った。

彼は足を止め、ぽつりと呟いた。

「この道を選んでたのはさ……ずっと、君と一緒にいたかったから」

——え?

「近道を選んだら、すぐに駅に着いちゃうだろ?でも、遠回りなら少しでも長く君と歩ける」

顔が熱くなる。

それはまるで、ずっと隠されていた秘密を知ったような気分だった。
気づかなかった。
こんなに大切に想われていたなんて。

桜の花びらがふわりと舞う🌸。
「……じゃあ、これからも遠回りする?」と冗談めかして言うと、彼は少し困ったように笑った。

「それは君が決めていいよ」

その言葉が、どこか告白のように聞こえた。

この道は、もう”遠回り”なんかじゃない。
“一緒に歩くための道”なんだって、やっと気づいた——

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