
恋に臆病な彼と、月夜に現れた不思議なスッポンの物語🌕🐢
「お前……どこから来たんだ?」
深夜、大学生のリクは月明かりの公園でスッポンと遭遇した。
そのスッポン、なぜか首に「恋は臆病な男を救う」と書かれたメモをぶら下げていた。
「いや、いやいや、意味わからんて」
そうツッコミながらも、スッポンに導かれるように公園の奥へと進むリク。
するとそこには、クラスのマドンナ・ミユがいた。
「リクくん……もしかして、スッポンに導かれてきたの?」
「そ、そう……かも?」
動揺しながらも頷くと、ミユはほほ笑んだ。
実は彼女も恋に臆病で、想いを伝えられずにいたのだという。
そんなとき、公園に現れた不思議なスッポンを“恋の神様”だと信じていたのだ。
「このスッポン、恋を後押ししてくれるらしいの」
「……え、マジで?こんなんで恋叶うの?」
「叶うかどうかは、月の力とあなた次第よ」
その言葉に背中を押され、リクは勇気を出して言った。
「ミユ……好きです!」
――するとスッポンが、満月の光に包まれて空高くジャンプ。
パァンッと花火のように光って、姿を消した。
「え、今の……何!?」
「……たぶん、任務完了ってことじゃない?」
こうして、恋に不器用だった二人はスッポンのおかげで一歩を踏み出せた。
そして後日、また別のカップルがあの公園で謎のスッポンに出会ったという。
都市伝説は、今日も月の下で更新されていく🌕
――それからというもの、リクとミユは“スッポンカップル”と呼ばれるようになった。
SNSには「公園のスッポンに出会うと恋が叶うらしい」と噂が広まり、夜な夜な若者たちがスッポン捜索に繰り出すように。
中には「スッポン様に告白してから挑むと成功率が上がる」など、怪しいルールまで誕生。
「次はどこに現れるかな~」「てかあれって野生なの?幻獣なの?」とネットでは議論が白熱した。
だがリクは思う。
あのスッポンが本物の神様かどうかは、きっとどうでもいいのだと。
背中を押してくれた“何か”があれば、人は一歩踏み出せる。
そして、恋はいつも――月とスッポンくらい違う者同士の出会いから始まるのかもしれない🌕
コメント