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承認欲求の強い男 めんどくさいって思うのは私だけ?- 三歩下がって褒めてほしい

微笑みは防御反応*
「この服、似合ってるよね?」
「昨日のLINE、早く返してくれて嬉しかった!」
「なんか俺のこと避けてない?」

彼の口から出る言葉は、いつも“確認”だった。
最初は「自信ないのかな?」って思ってた。
頼られてる気がして、悪い気はしなかった。

でも、回数が増えるにつれて私は段々としんどくなってきた。
私がどう思ってるかではなく、彼がどう安心したいかばかりが話題の中心になっていた。

「好きって言ってよ」
「今日も俺のこと、ちゃんと見てた?」
「俺、頑張ってるよね?」

そう聞かれるたび、私はまるで“承認ボタン”を押すだけの存在になった気がした。


ある日の昼下がり、公園のベンチに並んで座った私たち。
少し沈黙が続いたあと、彼が静かに言った。

「なんかさ、最近、距離を感じるんだよね」

私は思わず笑ってしまった。
「それ、私が言いたいセリフなんだけど」

彼が驚いた顔をしたので、続けた。
「私ね、あなたの“いいね”ボタンじゃないんだよ」

彼は目をそらして、しばらく黙っていた。
風の音だけが、会話の代わりになった。

「……ごめん。俺、自分のことばっかりだったかも」

ようやく絞り出すように言ったその言葉が、やけにまっすぐで。
私はふっと肩の力が抜けるのを感じた。


その日を境に、彼は少しずつ変わり始めた。
以前よりも、私の話に耳を傾けるようになった。
「どうだった?」と聞く前に「大丈夫?」と尋ねてくれるようになった。

きっと、彼の中の承認欲求が消えたわけじゃない。
でもそれを押しつけず、自分で向き合おうとし始めた。

「今日の君、自然体でいい感じだね😊」
「……ありがと。でも、盛れてない日なんだけど」

そんな軽いやりとりが、今の私にはちょうどいい。

「これ、SNSに書いたら?」
「それはやめとく🤣」


承認されたい気持ちは、誰だって持ってる。
でも、それを誰かひとりに背負わせたら、関係はいつか壊れてしまう。

今の私たちは、少し不器用だけど、対等に歩いていけてる気がする。
三歩下がるんじゃなくて、横に並んで歩けるように。

夕暮れの中、彼の横顔が少し穏やかに見えた。
私もそれを見て、ちょっとだけ笑った。
そして思った。
「この関係なら、もう少し続けてみてもいいかもしれない」

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