頭の上に“理屈”が乗る⁉奇妙でちょっと心温まるオフィスストーリー🧠💼
「……また、乗ってるじゃん」
朝のオフィスで、田中はため息をついた。
自分の頭の上に、スーツ姿のミニサイズ上司・吉岡課長がドカッと座っているのだ。
身長20センチの課長は、なぜか田中の“頭の上”がお気に入りの定位置。
誰も理由は知らない。
課長本人も「理屈で説明できることばかりじゃないのが社会だよ」と意味深なことを言うだけ。
「田中くん、昨日の資料……理屈っぽさが足りないよ」
「はあ……」
「あと、情熱も、愛も、あとこのページの段組も！」
「段組は愛じゃないですよね!?」
課長はいつも頭の上から命令を下す。
その姿はまるで、**“理屈が上から降ってくる”**かのよう。
だが、ある日事件が起こった。
朝礼中、田中がくしゃみをした瞬間、課長が吹っ飛んだのだ。
見事に宙を舞い、観葉植物の鉢の中へダイブ。
社員たちは一瞬静まり返ったが、次の瞬間拍手喝采。
「田中くん、よくやった！」「頭が軽くなった顔してるぞ！」
……いや、失礼すぎるでしょ。
しかしその日を境に、田中はふと気づいた。
課長が乗っていた頃の方が、自分は冴えていた気がする、と。
アイデアが湧き、集中力が高まり、なぜか上司の声が脳内で響いていた。
「理屈は時に、支えになるのさ」
そんな気がしてきた。
翌朝。
誰もいないオフィスで田中は頭を軽く叩いた。
「……課長、戻ってきてもいいですよ」
すると、空からひらりとミニ課長が降ってきた。
「待ってたよ、田中くん」
いつものように頭に着地しながら、課長は笑った。 不思議と、少し嬉しかった。
それからも田中の頭には、理屈とツッコミとちょっとの成長が、毎日座っている。
今日も“理想の上司”は、頭の上から働きかけてくるのだ。
そしていつしか田中も、自分の部下の頭の重みを、ほんの少し想像するようになった。
上司のかたちは人それぞれ。
でも、大事なのは“上に乗る”ことじゃなくて、“支える”ことなのかもしれない。
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