本ページはプロモーションが含まれています

ネコのマタタビ依存症対策室の大騒動

依存と癒しのゆるい攻防

ここはネコ社会の健康を守るために設立された「マタタビ依存症対策室」だ。
室長のミケは、朝の時点ですでに疲れ切っていた。
というのも、出勤してきたばかりのクロが、まだロッカーに荷物を置く前からマタタビの袋に鼻を近づけ、うっとりしていたからだ。
依存症対策をする部署の職員が真っ先に誘惑されてどうするのかと、ミケは静かにため息をついた。

会議が始まると、ネコたちはどこか落ち着かない様子だった。
マタタビの話題が出るたび、耳がピクッと動き、視線がそわそわと泳ぐ。
「今日は依存症の初期症状の確認から始めます」
ミケがスライドを映すと、クロが勢いよく手を挙げた。

「そのスライドって、マタタビの香り出ないの?」
「出ません」
ミケは即答した。
もし出るなら、会議どころではなくなる。

スライドには“袋の音だけでテンションが上がる”“床でゴロゴロする”“突然哲学的になる”などの症状が並んでいた。
ネコたちはそれぞれ心当たりがあるのか、こっそりうなずいていた。
特に“哲学的になる”が厄介で、重症化すると「そもそも昼寝とは何か」などと語り出し、周囲を困らせることが多かった。

ここでクロが胸を張って言った。
「マタタビを“ガチャ方式”にしたらいいんじゃない?
当たりが出たらマタタビ、外れたら健康的!」
「問題だらけよ!」
ミケが即座にツッコむ。
依存症対策室が依存を加速させてどうするのだ。

次に控えめなシロが静かに提案した。
「マタタビの代わりに、日なたぼっこを推奨するのはどうでしょう。
自然だし、コストもかかりません」
ネコたちは一斉にざわめいた。
「日なたぼっこはいいよな」
「むしろ毎日の主食みたいなもの」
評判は上々だった。

こうして“日なたぼっこ習慣”が試験導入されることになった。
初日は半信半疑だったネコたちも、陽の光を浴びた瞬間、とろんとした表情になり、次々とお昼寝モードに突入した。
「静かで助かるわ…」
ミケは安堵した。

しかし一週間後。
「日なたぼっこが気持ちよすぎて、業務がまったく進みません!」
という苦情が対策室に殺到した。
ミケは額に手を当てた。
依存は減ったが、生産性が消えたのだ。

そこで改めて会議が開かれた。
シロが静かに言った。
「マタタビは“特別な日に少しだけ”。
日なたぼっこは“適度に”。
結局はバランスが大事なのだと思います」
ネコたちは素直にうなずいた。

会議が終わり、ミケは机の上の小さなマタタビ袋をじっと見つめた。
「今日は……特別な日よね?」
そっと一口だけ香りを味わうと、背後からクロが顔を出す。
「室長、それもう初期症状だよ」
「これは……必要経費よ!」
ミケの叫びが対策室に響き、今日もネコ社会はのんびりと回っていくのだった。

あわせて読みたい作品

※本文を壊さず、世界観が近い“動物・ユーモア”系からセレクトしています。

ワンオペ犬カフェ!犬が回す!?笑える日常物語

ネコの背中Wi-Fiでつながる青春

にゃるそっく2.0 猫が見ていた防犯ハート事件簿

noteで読む後日談・続編はこちら

小説「ネコのマタタビ依存症対策室の大騒動」の後日談と続編は、noteにて公開しています。
ミケたち対策室の“その後の奮闘”や、クロの意外な一面など、よろしければこちらもご覧ください。

👉 ネコのマタタビ依存症対策室・後日談(note)

コメント

スポンサーリンク