燃えすぎ注意な青春劇
「うおおおおっ！！」
教室に響き渡る叫び声とともに、拳を突き上げる少年――烈（れつ）。
背後に燃えさかるような気迫をまとい、彼は叫んだ。
「今日こそ言うぞ！ずっと黙ってた想いをッ！！」
その瞬間、教室は静まり返った。
生徒たちの目が、まるで最終回のバトル漫画のごとく彼に集中する。
──そう、これはただの告白ではない。
まるで週刊誌で連載中のバトル漫画のクライマックス。
この日、彼は“好きな人に想いを伝える”という人生最大の戦いに挑んだのだ。
＊
烈は、昔から「テンション高めの漫画オタク」で知られていた。
だが誰よりもピュアで、まっすぐで、ちょっと暑苦しい。
彼の想い人は、学年一の冷静女子・紗菜（さな）。
言葉も態度もクールな彼女に、一年以上片想いしていた。
──だが、告白のタイミングはいつも逃す。
「今は空気が…」「あ、先生来た」「…喉乾いた」
そんな言い訳ばかりで月日が過ぎた。
そして迎えた最終学期。
「もう後がない！」
烈は決意した。
そして、放課後。
彼は教室で、叫ぶように自分の心を解き放った。
「好きだ！紗菜っ！！ずっと前から、君のことがッ！！」
静寂。
紗菜は席を立ち、ゆっくり烈に歩み寄った。
そしてポツリと、
「うるさい。…でも、ありがと」
表情は変わらないが、ほほがほんの少しだけ赤くなっていた。
烈は、燃え尽きたように座り込んだ。
「LET’S…MANGA……」
どこかで誰かが呟いた。
それは、恋のバトルを全力で戦った青春の一ページ。
本気の気持ちは、ちゃんと届く。
たとえ炎上寸前の勢いでも――。
＊
翌日、烈の机にはチョコレートと小さな紙が置いてあった。
「“続きは、読書室で。”」
そう、それは二人だけの連載が始まる合図だった。
その放課後、図書室の窓際。
紗菜はマンガのページをめくりながら、烈に言った。
「この展開、わたし嫌いじゃないよ」
烈は照れ笑いしながら隣に座った。
「じゃあ、この物語……次の話、考えてもいい？」
紗菜は少しだけ頷いた。
その頬には、昨日よりももっとわかりやすい赤みが差していた。
LETSMANGA。
それは、恋も、友情も、自分を信じて一歩踏み出す勇気の物語。
彼らの青春は、まだまだこれからだ。
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