
模試は戦場と化す!
その朝、全国模試の会場はまさに戦場だった。
教室の窓には砂袋、黒板には戦況マップ。
前線司令官こと担任の田村先生が怒鳴る。
「第一問、着弾確認ッ!数学部隊、突破しろ!」
生徒たちは制服の下に参考書を詰め、
巨大な鉛筆を手に突撃体勢を取っていた。
受験生・斉藤リク(17)は、決意の目で問題用紙をにらむ。
「…敵は“偏差値65”、突破するまで死ねない」
机の上には鉛筆弾、消しゴム防御壁、そしてマークシート地雷。
リクの隣の席では、親友のハヤトが英語セクションで沈没中だった。
「長文が…深すぎる……もはや沼……」
英語の第二波に備え、全体が静まり返る中、
突然、教室のドアが開いた。
そこに現れたのは――“浪人戦士”カケル。
伝説の旧受験兵だ。
「おまえらに、試験という名の地雷原を渡り切れるか?」
カケルは言った。
「攻略法? そんなもんはない。あるのは心の耐久力だけだ」
リクは頷き、最後の武器“鉛筆HB”を手に取る。
「よし…志望校、突破する!」
数学のラスボス“関数の融合問題”に挑み、
リクは叫んだ。
「うおおおお!xの値、割り出してやるぅぅ!」
教室中が白熱し、鉛筆の芯が次々と折れる。
消しゴムが飛び交い、ページが破られる音。
「時間との戦いが最大の敵だ……」
隣の生徒が時計とにらめっこしながらつぶやく。
途中でペンを落とす者、寝落ち寸前の者、
そして立ち上がってストレッチし始める者――カオスである。
だが、それでも全員が立ち向かっていた。
そう、“合格”という名の旗を掲げるために。
そして、リクが最後の問題を解き終えた瞬間、
どこからともなく鐘の音が鳴り響いた。
「戦闘終了――答案回収ッ!」
崩れ落ちるように鉛筆を置くリク。
だがその顔には、やり切った笑みがあった。
「やっぱ模試って……体力勝負だな」
その日、全校生徒は試験という名の戦場を乗り越えた。
帰り道、ハヤトがぽつりと言った。
「次、センター模試だよな……」
リクは静かに答える。
「戦は、まだ終わっちゃいないさ」 ――戦いは続く。
受験戦線に、休息はない。
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