
着替え注意報、発令中🌀
「うわっ、ごめんっっ!!」
息を呑んだのは、間違いなく祐一だった。
いつものように帰宅して、何気なくリビングのドアを開けたその瞬間――
目の前には、妹の友達・ナツミがシャツを脱ぎかけていた。
静止画のような数秒。
カーテンが風でふわっと揺れ、祐一の視界にはピンクのインナーとナツミの驚愕の顔が残像のように焼き付いた。
「……今の、見たよね?」
ナツミの声が静かに炸裂。
「ち、ちがっ……!いや、ちがうかどうかって言われたら、ちょっと見たかもしれないけど、悪気はなくて!ドアが勝手に!」
「え、ドアのせいにするん?」
「うん……ドアが、ね?」
沈黙。
やがて、ナツミはふっと笑った。
「ま、いっか。ちゃんとインナー着てたし。心のシャッター切られた気はするけど」
「一眼レフじゃないから大丈夫だと思います!」
「お前な……」
とはいえ、話はこれで終わらなかった。
翌日、妹から謎の一言。
「お兄ちゃん、文化祭の手伝いよろしく~。ナツミの推薦だって!」
「……え?なんで?」
祐一のスマホにLINE通知が届く。
《この前の件、チャラにしてあげる代わりに。文化祭、メイド服でよろしく❤️》
「チャラの意味が重すぎる……!」
当日、祐一は学園祭の喫茶店で、まさかのフリフリエプロン姿。
クラスメイトから写真を撮られ、笑われ、注文は「笑い声付き」で出す始末。
ナツミはというと、レジ前で満面の笑み。
「ねえ祐一くん、おすすめメニューは?」
「“羞恥心のブレンドティー”でございます……」
「じゃ、それで❤️」
文化祭は爆笑の渦で終わった。
帰り際、ナツミが言った。
「……なんだかんだ、今日の祐一くん、頑張ってたよ。笑いも取れてたし」
「完全に事故ですけどね⁉️」
とはいえ、笑ってくれたナツミの顔が、少しだけいつもより優しく見えた気がした。
また、息を呑む日が来るかもしれない――今度は笑いじゃなくて。
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