
脂と友情と火柱と
焼肉店「炎舞亭」で、大学時代の同級生3人が久々に集まっていた。
集まったのは、まじめな田島、のんびり屋の間宮、そして“余計なことをやりがち”な西園寺ヒロト🔥。
ビールを片手に、社会人生活の愚痴を言い合いながら、カルビやハラミを炭火の上で焼く。
ジュウジュウと響く音と、香ばしい匂いが、疲れた3人を癒していた。
だが平穏な焼肉タイムは、長くは続かなかった。
「なあ、ちょっと面白いモノ持ってきたんだけどさ」
ヒロトが不敵な笑みを浮かべて、ポケットから取り出したのは手のひらサイズの“脂の塊”。
白くてテカテカしているそれは、バターと牛脂を混ぜて固めたというヒロト特製“燃える脂”。
「これを網の上に落とすとさ、すごいことになるんだよ」
「やめろバカ、それ絶対やばいから」
「火事になったらどうすんだよ」
田島と間宮が止めるのも聞かず、ヒロトはニヤリと笑って網の中央に脂を投下。
ボワッ!!🔥🔥🔥
炎が一気に燃え上がり、火柱が天井近くまで立ち昇る。
「ぎゃー!熱っ!!」
「顔が、顔が焦げるって!」
「ヒロト、おまえーーーっ!!」
周囲の席からもどよめきが起こり、隣のカップルは肉をひっくり返して驚く。
間宮は身を乗り出して避け、田島は思わずイスをずらす。
そんな中、ヒロトは火柱の光を背にドヤ顔で言い放った。
「火に油を注いでおいたぞ🔥」
そして追い打ちのように、スマホを構えた間宮が動画を撮っていた。
その動画に「#焼肉ファイヤー男」のタグをつけて投稿したところ、爆発的な反響が。
「腹抱えて笑った」
「人生で一番熱い焼肉」
「そのうち焼肉神として祀られる」
コメント欄はお祭り騒ぎとなり、なんと「炎舞亭」の公式アカウントからDMが届く📱。
『もしよければ、この動画をPR素材に使わせていただけませんか?』
こうしてヒロトは、期間限定の“公式アンバサダー”に就任。
ユニフォームの背中には堂々と「油注入係」と刺繍されていた。
テレビの取材まで入り、番組で「火に油を注ぐ男」と紹介されたとき、ヒロトは笑顔で言った。
「脂とノリと、ちょっとの勇気で人生は燃え上がるんだ🔥」
焼肉と友情、そして火柱が巻き起こした、笑撃と感動(?)の一夜だった。
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