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犬の忠誠心が月額制になった日 当たり前にしていた優しさの話

愛情は自動更新ですか

犬は、ずっと忠実でいるものだと思っていた。
呼べば来る。
撫でれば喜ぶ。

その前提が、ある日、静かに崩れた。

その犬は、昔ながらの忠実さを備えた、ごく普通の家庭犬だった。
朝は決まった時間に起き、玄関の音には誰よりも早く反応し、飼い主が帰れば全力で尻尾を振る。
それが自分の役割であり、存在意義だと疑ったこともなかった。

変化が起きたのは、ある月の請求日だった。
犬はいつものように撫でられるのを待っていたが、その日、飼い主はスマートフォンを見たまま通り過ぎた。
撫でる回数はゼロ。
声かけもなし。
散歩は最短距離。

犬は静かに理解した。
これは愛情の仕様変更だと。

翌日、犬は少しだけ距離を取った。
呼ばれても反応はワンテンポ遅れる。
尻尾は振るが、角度は控えめ。
目線も以前ほど熱心ではない。

飼い主は違和感を覚えた。
「なんか最近、そっけなくない?」
犬は答えない。
ただ心の中で利用規約を読み上げていた。

現在のプランはライト。
基本機能は維持。
番犬性能は通常稼働。
愛想笑いはオプション外。

週末。
久しぶりに長めの散歩が行われた。
途中でおやつも支給された。
犬の尻尾は、わずかに振れ幅を増した。

プレミアム復帰まで、あと一歩。

しかし翌週、また撫でられない日が続いた。
犬は判断する。
自動更新は停止。
忠誠心は月単位で調整される。

それでも犬は完全には冷たくならない。
なぜなら、契約解除という選択肢は存在しないからだ。
ただし、感情の提供頻度は調整可能。

飼い主が落ち込んでいる日。
犬は静かに隣に座った。
何もせず、ただそこにいる。
これは無料プランに含まれる最低限の安心機能だった。

飼い主はその温もりに救われた。
「やっぱり犬は最高だな」
その一言で、犬の内部評価は少しだけ上がる。

翌朝、自然に撫でる手が伸びた。
犬は迷った末、しっかり尻尾を振った。
トライアル期間としてのサービス再開。

忠誠心は、裏切らない。
ただ、無限ではない。
犬は教えてくれている。
当たり前のように受け取っている優しさには、更新作業が必要だと。

犬のそんな態度を見て、飼い主はふと思い出す。
以前読んだ、犬は謝り、猫は記憶を消す話でも、犬は人より先に空気を察していた。

また、イヌ不満座談会 飼い主の理不尽に吠える夜を思い出しながら、飼い主は少しだけ反省する。

その夜、特別なことはしなかった。
ただ、いつもより長く犬の頭を撫でた。
犬は一瞬だけ迷ってから、しっかり尻尾を振った。

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この物語を読んで、
「うちも、ちょっと当たり前にしすぎてたかも」
そう感じた方へ。

小説「犬の忠誠心が月額制になった日」の後日談と続編は、noteにて公開しています。
ライトプランのまま距離を保つのか。
それとも、もう一度“更新”するのか。

犬と飼い主の、その後の静かな変化を描いています。
よろしければ、続きをこちらでお読みください。

👉 犬の忠誠心が月額制になった日・後日談(note)

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