
職場の猫問題をゆるく解決
「本日の議題は“ニャルハラ”についてです」。
会議室に入るなり、司会のトラ猫・ミケ部長がヒゲを整えながら宣言した。
最近オフィスで急増している“猫による圧の強い甘え行為”が問題になり、人間社員からも相談が続いているという。
そこで有志猫たちが結成したのが、この「ニャルハラ(猫ハラスメント)研究会」である。
参考資料として、先月話題になった「猫の手も借りたい」のケース(猫の手も借りたい!AIが考えた小説 – 忙殺オフィスキャットパニック)も共有されており、会議の空気は想像以上に真剣だった。
まず若手猫のシロが前に出て、自身の行動を振り返った。
「ぼく、つい会議中のキーボードに乗っちゃうんです」。
参加メンバーは全員うなずいた。
ミケ部長はホワイトボードへ手早く「キーボード占拠型ニャルハラ」と書き、太線で囲む。
その雰囲気は、なんだか社内重大問題のようである。
しかしシロはあわてて前足を振った。
「悪気はないんですよ。ただ、そこがいちばん暖かいんです」。
研究会メンバーも吹き出した。
猫にとって、暖かさは正義なのだ。
次に、黒猫のクロが発言する。
「ぼく、“突然のスリスリ攻撃”が出ちゃいます」。
彼は集中している人の足元にすり寄り、甘えのスイッチが入ると止まらないタイプらしい。
「驚かせちゃうし、迷惑なのかなって……」
その悩みに、ミケ部長は数秒考えてから言った。
「甘えと圧の境界線は、いつも見えないのですね」。
そして話題は次々と広がった。
窓際担当のチャトラは「人間の背中に勝手に乗る問題」。
三毛のナナは「書類を踏んでレイアウトを崩した疑惑」。
プリンターの上を縄張りにしたキジトラは「印刷中断事件」。
どれも深刻……のようで、どこか笑いを誘う内容ばかりだった。
こうした猫あるあるは、先日バズった「猫カフェ」の事件(猫カフェで大事件⁉️ 伝説の猫がやらかした)とも似ており、「職場とは何か」と少し考えさせられる。
ここで、人間代表として参加した総務の田中さんが手を挙げた。
「正直、迷惑なこともあります。でも……可愛いから許しちゃうんです」。
この率直な言葉に、会議室の猫たちはざわめいた。
どうやら「許される」と「迷惑」のあいだには、不思議なバランスが存在しているらしい。
ミケ部長は静かに前へ出た。
「つまり私たちは、好意を押しつけすぎていたのかもしれませんね」。
その言葉は、不思議とじんわり胸に響いた。
「甘えたい気持ちは自然なもの。でも、相手の都合を想像するのも思いやりです」。
会議室に静かな空気が流れたが、その沈黙はどこか柔らかかった。
するとシロが、おそるおそる前足を上げた。
「ぼく、人間が困ってそうなら、そっと距離をとる練習します」。
クロも続く。
「甘える前に、相手の顔色チェックします」。
チャトラは胸を張った。
「プリンターは、今日から縄張り解除します」。
ナナは照れながら言った。
「書類の上では……寝ないようにします」。
それを聞き、ミケ部長は満足そうにうなずいた。
「猫の魅力は自由気ままなところ。でも、その自由さが誰かを困らせてしまうなら、少しだけ工夫すればいい。私たちは相手を思いやれる猫なのですから」。
会議終わり、田中さんが静かにつぶやいた。
「こうして話し合ってくれるだけで、嬉しいですね」。
猫たちはしっぽを立てて喜んだ。
その姿を見て、田中さんは思わず笑った。
結局、人も猫も“甘えたいけど迷惑はかけたくない生きもの”なのだと気づいたからである。
その日からオフィスでは、甘え方のマナーがほんの少し上達した猫たちが働き始めた。
キーボードも、書類も、プリンターも、以前より平和になった。
ただし、昼休みの“膝争奪戦”だけは、未だに終わりが見えないという。
こればかりは、研究会でも解決できない永遠のテーマらしい。
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