本ページはプロモーションが含まれています

ごほうび朝ドラマでラブごはん

出勤前の3分恋物語

「朝ドラって言ってもさ、俺のは米じゃなくて恋だから」

主人公・遥斗(はると)は毎朝、出勤前の10分で“ごほうび朝ドラマ”を観るのが日課だった。 SNSで人気の3分完結ミニドラマ。
甘酸っぱい恋や、ちょっと笑える人間模様が詰まっていて、朝の眠気を吹き飛ばす最高の目覚まし。
彼にとってはコーヒーより効くエナジー源だ。

ある朝。
画面の中で新キャラとして登場した女の子が、なぜか遥斗の通勤路にあるパン屋の制服を着ていた。
偶然かと思ったが、ドラマの舞台背景に映る看板まで見覚えがある。

「え、これ……近所じゃね?」

遥斗は半信半疑でパン屋に立ち寄った。
すると、ドラマに出ていたそのままの笑顔で「いらっしゃいませ」と迎える女性。
まるで画面が飛び出してきたようだった。 彼女の名は美羽(みう)。

「えっと……昨日ドラマに……出てました?」

「ふふ、気づいちゃいました?」

どうやら美羽は、趣味で友人と一緒にミニドラマを撮ってSNSに投稿していたらしい。
遥斗が毎朝観ていた“ごほうび朝ドラマ”は、まさかの身近なパン屋発信コンテンツだったのだ。

その日から、遥斗の朝はちょっとした冒険に変わった。
ドラマの中で彼女が焼いていた「ハート型クロワッサン」が、実際にパン屋のショーケースに並んでいたり。
ドラマに出てくる“恋の置き手紙”が、実際のレシート裏に書かれていたり。
現実とフィクションがごちゃ混ぜになった不思議な毎朝。

「ねぇ、美羽さん。 ドラマって……台本通りなの?」

「半分くらいはアドリブですよ。 だって、日常のほうが面白いですもん」

そう言って笑う彼女に、遥斗はどんどん惹かれていった。

しかし物語はここで終わらない。
SNSのバズによってパン屋は大繁盛。
美羽は朝から撮影と接客で大忙し。
そんな中で「リアルの恋」をどうするか悩み始める。
彼女にとって遥斗は、ただの常連?それとも――。

そしてある朝。
新しいエピソードが投稿された。
タイトルは「ごほうびデート編」。
画面の中の美羽が、カメラに向かってこう言った。

「じゃあ、これを見てる“あなた”。 今日、パン屋で待ってます」

遥斗は思わずネクタイを締め直し、ダッシュで店へ向かった。
ドアを開けると、ショーケースにはいつものクロワッサン。
そして奥から現れた美羽が、真っ直ぐに彼を見て微笑んだ。

「お待たせしました。 ……ドラマの続きは、ここからですよ?」

店内に差し込む朝の光の中で、二人の“ごほうび朝ドラマ”は現実へと進み始める。

コメント

スポンサーリンク